第5回 武藤 香子様
(助産所 ままと赤ちゃんの家院長)
はじめに、自己紹介をお願いいたします。
山形県生まれ、埼玉県で助産師の勉強をしました。栃木県那須塩原市にきてから、30年になります。2男2女に恵まれました。 ほとんど助産師として働いてきましたので、30年以上、ずっと出産に関わっています。実践したことを論理的、学問的に考えたくて、4月から大学院修士に入学し勉強中です。
勤務されている病院のことを教えていただけますか。
那須御用邸の玄関口である那須塩原駅近くに、助産所ままと赤ちゃんの家はあります。どこまでも青い空と、さわやかな風がそよぐ、のどかな、人口11万人の地方都市で、妊婦さんやご家族もどこかのんびりしています。子どもは3人いて当たり前、という子だくさん家庭が多いです。 傷のない出産、疲労の少ない出産、出血の少ない出産を目指して、開業してから19年になります。5年前に新築し、施設が広くなりました。出産だけではなく、産後ケア、看護カウンセリング、虐待やDV、母児の保護や特別養子縁組にもスタッフと長年取り組んできました。
開業の経緯を教えてください。
自分自身が助産所で出産しているので、自分の経験した幸せな出産を、他の女性に体験してもらえたらいいな、と思っていました。 そのころ「地域で働く助産師が必要だよね」とか、「武藤さん、開業してよ」と、上司や同僚が口にするのを不思議な気持ちで聞いていました。自宅の後ろにちょうど20坪の土地があったこと、エコーが買えたこと、嘱託医がすんなり決まったこと、勤務していた産科の部長が「早めに搬送して」と二つ返事で支援病院を受けてくれたことで、わずか6か月で開業できてしまったのは、今から思えば奇跡です。
普段のお仕事の様子はいかがですか。
妊婦健診、産後健診、育児相談、産後ケア、育児サークル、学生実習指導などが助産所では主な仕事になります。出産があるときは、産婦さんや赤ちゃんのお世話で忙しいです。特にご飯作りは力が入ります。最近は、大学での講義や、研修会の講師、命の授業も多いです。
助産師を目指した理由やきっかけはどんなことでしたか。
高校3年生の時に、母に「助産婦さんになったらどう?」「赤ちゃんを取り上げて、お世話をする仕事だよ」と言われて、すんなり受け入れたのも今思うと奇跡です。その他のことは一切聞き入れない、反抗的な人間だったので。
この仕事の難しさを教えてください。
生まれようとする子の力強さ、産もうとする若いエネルギーに圧倒されるところです。未来に向かう力に、ぐいぐい引っ張られていく感じがします。落ち込んだり、考え込んだりする暇がないです。
この仕事の良いところを教えてください。
生命の誕生は本当に神秘的で、何度お産に立ち会っても、毎回毎回幸せな気持ちになります。また、生まれたての赤ちゃんに会い、毎日元気をもらっています。出産して「おめでとう」、退院の時も「おめでとう」。こんなに「おめでとう」を何度も言える場所は、他にはないと思います。
助産師になってより磨かれた部分、得意になったことはどんなことでしょうか。
自分の目の前にいる人が何を求めているのかがわかるようになったことですね。少なくともわかろうと努力している。
最後に、アドバンス助産師としての抱負や、これからアドバンス助産師を目指す方へのアドバイスをお願いします。
2015年に取得しました。2020年の更新にむけて、研修会の受講を頑張っています。アドバンス助産師を更新することは、自分のキャリアをどう積み上げていくかという実践であると考えます。継続教育の点からも、これから目指す方たちと一緒に学んで、社会での実績をつくっていきたいです。
ご協力ありがとうございました。