アドバンス助産師Vol.8

2021.02.10

  • 産後ケア事業の新たな展開とアドバンス助産師

    新しい産後ケア事業のキーパーソンであるアドバンス助産師にエールを送ります。

公益社団法人日本産婦人科医会 常務理事

相良 洋子

 新型コロナウィルスの混乱の中で迎えた2021年ですが、ウィルスの脅威は今なお続き、改めて感染症の恐ろしさと人間の非力を痛感すると同時に、今何が本当に大切なのか、我々は何をすべきか、人間はどうあるべきかなど根源的な問題にも向き合う必要に迫られています。

 

 このような状況の中で、本年4月1日付けで「母子保健法の一部を改正する法律(令和元年法律第69号)が施行され、産後ケア事業が自治体の努力義務として再スタートすることになりました。産後ケア事業は平成27年から自治体の任意事業として開始され、様々な理由で支援が必要と考えられる出産後4か月以内の母子に対して、施設型や訪問型によるケアが提供されてきました。今回の法改正は、母親の育児不安やうつ状態、児童虐待の問題などがさらに深刻化していることをうけてこれを強化することが目的ですが、対象となる期間は産後1年までに延長され、病院・診療所・助産所などの施設でこれを行う場合は「産後ケアセンター」という新たな位置づけが設けられました。

 

 この新しい産後ケア事業において、アドバンス助産師の皆様の力が求められていることはいうまでもありません。出産後まもない時期の経験は、女性にとっても生まれてきた子どもにとっても、その後の人生に大きな影響を与えます。母子のその後の心身の健康を左右するといっても過言ではないでしょう。家族の関係が希薄になっている現在、母子の心身の変化に精通している助産師は頼りになる貴重な存在です。日本産婦人科医会では「母と子のメンタルヘルスケア研修会」を開催して、妊産婦のメンタルヘルスに対する基本的なケアについての研修を行っています(入門編研修会はCLoCMiP®レベルⅢ認証制度の申請要件として認められています)。妊産婦にとって様々な困難が押し寄せているこの時代、アドバンス助産師の皆様にはさらなるスキルアップをめざし、母子を支える頼もしい存在としてご活躍されることを期待します。

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