Vol.8
2021.02.10
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【特集:産後ケア事業とアドバンス助産師】
母子保健法の一部を改正する法律の意味・改正のポイント2019年12月、子どもたちの健やかな成長を切れ目なく支えていくための環境整備を推進していくための理念法である「成育基本法」が施行されました。この考え方を受けて公布された「母子保健法の一部を改正する法律」とは。その意味と改正のポイントをまとめました。
公益社団法人日本助産師会 会長 島田 真理恵
2019年12月、成育基本法が施行された。成育基本法は、子どもたちの健やかな成長を切れ目なく支えていくための環境整備を推進していくための理念法である。この考え方を受けて、同じく2019年12月に母子保健法の一部を改正する法律(産後ケア事業の法制化)が公布された。そして、産後ケア事業の実施が市町村の努力義務とされ、2024年度末までに全国展開を目指すこととなった。
従来、母子が産後ケア事業を利用できるかどうかは、市町村が判断していたが、今回の改正で、母子が産後ケアを必要とすれば、その母子の心身および社会的状況にかかわらず、利用が可能となった。また、利用可能期間が、産後4か月までから産後1年までに延長された。ケア提供者は、助産師、保健師、看護師とされているが、産後4か月までは、原則、助産師を中心とした実施体制での対応とすることが示されている。
すなわち、これからは、産後の母子が日本のどこに住んでいても、希望すれば助産師を中心とした産後ケアが受けられ、母子とその家族が健やかに過ごしていけるような支援体制が推進されていくということである。また、核家族化がすすみ、家族機能や地域での支え合いの機能が低下している現代においては、母親が産後の育児を中心とした生活に適応し、自分なりの育児ができるようになることをフォーマルサポートが支援していく必要性が認識されたということである。そして、助産師がその支援において、中心的な役割を担うべきであることを国が提示した意義は大きい。
今後、助産師は、周産期だけではなく、産後1年までの支援ができる実力をつけていくことが求められ、アドバンス助産師は、その能力も持つものと認識されることとなる。時代の変化に伴い、助産師に期待される能力は変化するが、それに応える活動をしていきたいものである。