アドバンス助産師Vol.14

2024.02.15

  • 【特集:第8次医療計画の周産期医療計画とアドバンス助産師の役割】
    周産期医療計画の目標達成に必要とされるアドバンス助産師の育成

    第8次医療計画の周産期医療計画において、アドバンス助産師には、より一層の役割発揮が期待されます。鹿児島県看護協会は、周産期医療の課題解決に向けた取り組みを通じて助産実践能力の向上に努め、アドバンス助産師の育成を支援しています。

鹿児島県看護協会 助産師職能委員長/鹿児島市立病院 看護師長

潟山 勝美

 鹿児島県の周産期医療の現状としては、出生数の減少と小児科・産科医師の高齢化等に伴い、分娩を取り扱うことのできる病院・診療所(以下、「分娩取扱機関」)が現在37施設となっており、平成29年より5施設減少している。出生千人当たりの分娩取扱機関数を圏域ごとにみると、2.9から10.4と地域格差がみられ、有人離島28のうち3島では、分娩取扱機関がないため島外での出産となっている。

 また、分娩取扱機関の助産師数は、令和5年現在417人となっているが、やはり地域偏在がみられる現状にある。

 このような中、筆者の勤務する鹿児島市立病院は、平成19年に総合周産期母子医療センターに指定され、本県の総合周産期医療を提供する中核的な役割を担ってきたが、医師や助産師の地域偏在は大きな課題となっている。

 

 鹿児島県看護協会では、県の委託を受け、平成25年度から助産師出向事業に、令和4年度からは助産師活用推進事業に取り組み、助産師の地域偏在を補うとともに実践能力の向上に努めてきたが、助産師活用は不十分な状況にあり、アドバンス助産師は2017年170名から2022年133名と減少している。

 近年、高齢出産などハイリスク妊産婦も増え、ケアの質の高さが求められる中、適切な対応や判断ができると認められているアドバンス助産師は、今の時代にまさに求められている助産師であることを、現在策定中の第8次医療計画策定に関連した県周産期・小児医療協議会の場で県看護協会として発言し、計画の中に「アドバンス助産師を含む専門性の高い助産師の活用」と「地域ごとのアドバンス助産師数」が記載されることになった。

 このことが今後の助産師活動の後押しとなり、妊産婦、子育て環境の改善につながるためにも、助産実践の展開に必要なマネジメント能力や政策視点をもつ「アドバンス助産師」が更に役割を発揮していく必要があることから、助産師職能委員長として、改めて、周産期医療を支えるアドバンス助産師の育成支援に努めてまいりたいと考えている。

 

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