アドバンス助産師Vol.15

2024.07.10

  • 【特集:アドバンス助産師を可視化する】
    アドバンス助産師取得推進への取り組み

    福島県看護協会は、CLoCMiPレベルⅢ認証制度の開始当初から現在まで、アドバンス助産師取得推進を行っています。現状把握から実践へと、具体的な取り組みの事例をご紹介いただきます。

公益社団法人福島県看護協会 助産師職能委員長

服部 桜

 福島県看護協会では、2015年CLoCMiPレベルⅢ認証制度開始前からアドバンス助産師取得に向けての推進活動を行い、多くのアドバンス助産師誕生の一助を担っている。

 

 認証制度開始に向けて2014年日本看護協会元常任理事の福井トシ子氏を講師に迎え「助産実践能力習熟段階」について学び、アドバンス助産師を取得することの意義を認識した。また、助産師職能委員長が福島県医師会で認証制度について説明し、理解と協力を得るために尽力した。そのため福島県では、2015年159名のアドバンス助産師が誕生し、就業者数に対しての割合が34.1%と全国トップとなった。その後も県協会と福島県助産師会が連携し福島県へ働きかけ、アドバンス助産師資格取得のための補助金制度が2019年度から開始され、第7次医療計画に「アドバンス助産師の認証促進」が記載された。

 

 2020年初めてのアドバンス助産師の更新の年はコロナ禍のため助産師職能委員会では集会等が開催できず、更新への働きかけが難しく現状調査を行った。結果は、更新動機は自己研鑽(69.7%)が最も高く、助産師外来(15.1%)、乳房外来(15.1%)、院内助産(1.7%)は低かった。更新の妨げは費用(70.6%)が最も高く、次いで役立つ場面がない(47.9%)であった。専門性の高い院内助産や助産師外来等が更新動機に結びついておらず、役立つ場面がない現状が明らかになった。
 2020年度更新者数は97名(61.0%)、全国的には高い更新率であったが4割近くの助産師が更新を見送った。当時県内に院内助産を行っている施設は2施設のみ、助産師が活躍する場を確保するために院内助産の拡大が急務と考えた。2021年度に作成した「福島県院内助産開設ガイドブック」を活用し院内助産開設推進に力を入れて活動を行ってきた。2023年度には院内助産を標榜している施設が新規1施設増えたが、多くの施設が院内助産の基準を満たしているが標榜は難しい現状である。今後も院内助産開設に向けての支援活動を継続していきたい。

 

 助産師職能委員会として力を入れている事業に新人助産師交流集会がある。コロナ禍初年度のみ休止したが、以降は全て参集で開催した。キャリアデザインの講義を通してアドバンス助産師について取得推進を行っている。若手の意欲は高く、毎年新規取得者がおり県内の取得者割合は常に3割以上と安定している。また、県協会の要望が実現し2023年から県の委託事業として新卒助産師育成支援事業を開催している。座学だけでなくシミュレーション学習、総合・地域周産期施設や助産師外来、助産院の実習など充実した8日間の研修である。アドバンス助産師取得と県内への助産師の定着促進を期待している。

 

 アドバンス助産師取得・更新推進には、県行政と医師の理解と協力が不可欠であるため県協会と職能委員、そして助産師会を含めた多くの職種と連携を深め取り組んでいきたい。

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