アドバンス助産師Vol.14

2024.02.15

  • 助産師教育新カリキュラムの取り組み

    2022年度に新カリキュラムによる助産師教育がスタートしました。カリキュラム改正によって教育現場に求められる対応は何か。奈良県立医科大学大学院看護学研究科の取り組みをご紹介します。

奈良県立医科大学 大学院看護学研究科 教授

五十嵐 稔子

 助産師教育は2022年度入学生から新カリキュラムとなり、指定規則で必要な単位が28単位から31単位へと増加しました。増加の内訳は、助産診断・技術学が2単位、地域母子保健が1単位です。本学は大学院での養成課程であり、旧カリキュラムでは修士号取得のための単位を含めて2年間で58単位以上を取得していました。それが61単位以上へと増加することで、もとから過密なスケジュールであった状況から、さらに増える授業を消化不良に終わらせず、いかに効果的な内容と配置にするかが課題でした。

 

 本学では、助産診断・技術学は事例による助産過程の展開、学内演習での基礎看護学技術の復習、助産技術の反復練習を強化すること、また、市町村で妊娠期から育児期までの継続支援を行っている助産師の講義を計画しました。さらにハイリスク妊産婦への対応に関する講義を増やし、特に緊急時に対応できる能力として、産科救急や硬膜外麻酔分娩に関する授業を増加しました。蘇生シミュレーターを用いた演習では、救急時のチームワークの重要性や、各メンバーの役割などを学ぶ機会となりました。

 

 地域母子保健では、奈良県内の保健センター2カ所に行き、助産師が行う事業として開催している、「5か月児の離乳食教室」「プレママ教室」「乳児相談」の見学をし、地域で妊娠期・育児期の女性や家族と関わりながら実践的に理解を深める機会を得ました。学生からは、多様な相談内容に対応できる幅広い知識の必要性、保健師や栄養士、歯科衛生士などの多職種連携、特定妊婦への継続支援の実際、近隣に住む母親同士の交流ができる雰囲気づくりなどが学べたと好評でした。

 

 新カリキュラムにより、ハイリスク妊産婦への対応や、地域の子育て世帯を支援する能力を育む授業等を強化しました。今後は、これらの教育の効果について、修了時の到達度の変化や母子へのケアの向上等、検証して行くことが必要だと考えます。

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