Vol.10
2022.02.15
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助産師教育におけるプレコンセプションケア
助産師教育基礎教育においては、将来に向けて女性やカップルが生活と健康に向き合い身体を整える「プレコンセプションケア」の重要性を、学生自身が過去や将来のライフイベントとその時の気持ちの浮沈の描写を取り入れながら身近に考えることができるようにしています。
東京女子医科大学看護学部 教授
小川 久貴子
助産師は、周産期に関わらず、女性の生涯にわたる健康を支援していくことが責務とされていま す。私は、思春期教室などを通じて、男子も女子も月経は何歳頃まであるのか、妊娠は何歳頃迄できるのかという生殖に関する知識が不足している現状を目の当たりにしてきました。そこで、助産師教育基礎教育において、将来に向けて女性やカップルが生活と健康に向き合い身体を整える「プレコンセプションケア」の重要性を、学生自身が過去や将来のライフイベントとその時の気持ちの浮沈の描写を取り入れながら身近に考えることができるようにしています。
アドバンス助産師の皆さんも、思春期教室や妊婦健康診査などの機会を通じて、プレコンセプションケアを普及させて頂ければと思います。
1.プレコンセプションケア(Preconception Care)とは
米国疾病管理予防センター(CDC)が 2006 年に提唱し、世界保健機関(WHO)が2012 年にプレコンセプションケアを「妊娠前の女性とカップルに医学的・行動学的・社会的な保健介入を行うこと」と定義しました。日本で先駆的に取り組んでいる国立成育医療研究センターでは、コンセプション(Conception)は受胎、お腹の中に新しい命を授かることをいい、プレコンセプションケアとは、将来の妊娠を考えながら女性やカップルが自分たちの生活や健康に向き合うこととしています。
2.プレコンセプションケア・チェックシートとは
国立成育医療研究センターのウェブサイトに掲載されている、すべての女性とカップルに、妊娠前に知ってほしい内容とチェックシートです。
【プレコンセプションケア・チェックシート :女性版】
もっとすてきな自分になるために、未来の家族のために、できることから初めて、 1つずつチェック項目を増やしていきましょう。
・適正体重をキープしよう。
・危険ドラッグを使用しない。
・禁煙する。受動喫煙を避ける。
・有害な薬品を避ける。
・アルコールを控える。
・生活習慣病をチェックしよう。(血圧・糖尿病・検尿など)
・バランスの良い食事をこころがける。
・がんのチェックをしよう。(乳がん・子宮頸がんなど)
・食事とサプリメントから葉酸を積極的に摂取しよう。
・子宮頸がんワクチンを若いうちに打とう。
・150分/週運動しよう。こころもからだも活発に。
・かかりつけの婦人科医をつくろう。
・ストレスをためこまない。
・持病と妊娠について知ろう。(薬の内服についてなど)
・感染症から自分を守る。(風疹・B型/C型肝炎・性感染症など)
・家族の病気を知っておこう。
・ワクチン接種をしよう。(風疹・インフルエンザなど)
・歯のケアをしよう。
・パートナーも一緒に健康管理をしよう。
・計画:将来の妊娠・出産をライフプランとして考えてみよう。
Vol.10
これから産む人、産みたいと思っている人へのプレコンセプションケア