アドバンス助産師Vol.10

2022.02.15

  • 【アドバンス助産師ご当地情報】
    望まない妊娠・出産をした若年女性への支援を通して考えるプレコンセプションケアにおける課題

    全国各地で活躍するアドバンス助産師の活動の様子をお伝えします。
    今号は、これから産む女性だけでなく、若者の親世代へのプレコンセプションケアに取り組む総合周産期母子医療センターをご紹介します。

埼玉医科大学総合医療センター・総合周産期母子医療センター
アドバンス助産師
細谷 伊津美

 私はアドバンス助産師として総合周産期母子医療センターに勤務しています。現在当センターでは、思春期外来などのプレコンセプションケアを提供する場はまだありません。しかし、多くの身体的・精神的・社会的にハイリスクな妊産褥婦のケアに携わってきたなかで、プレコンセプションケアについて考えることは幾度もありました。なかでも、望まない妊娠・出産をした若年女性への支援を行う時にその難しさを痛感してきました。

 

 望まない妊娠・出産をした若年女性にかかわる時は、当然その親ともかかわり、支援していきます。当該女性の親も含めた支援に向けて、院内のソーシャルワーカーや心理士、保健センターや市役所、児童相談所の職員、時には警察署員やきょうだいが通う保育園職員などの関係機関とともに地域全体で連携することもありますが、それでも無関心な親はいました。そのため、子ども達がこれから心身共に健やかに成長するためには、また、若年女性の次の妊娠・出産が希望に満ちたものになるためには、若者の親世代にどうアプローチするかが重要なのだと考えるようになりました。望まない妊娠や人工妊娠中絶、性感染症、極端なダイエットや続発性無月経などが、心身の健康状態だけでなく妊娠・出産に大きく影響を及ぼすことを、若者の親世代に十分に理解してもらい、子ども達を見守り育ててもらうことが必要不可欠です。

 

 当センターではアドバンス助産師が中心となり、これから親になる妊産婦にケアを行っています。その方達の妊娠・出産・子育てが健全なものになるようにと行っている保健指導が、子どもの健康を守ることにも生かされていくために、どのように工夫していけばよいのか。また、次の妊娠・出産に備えて健康を維持していくための生活様式を共に考えながら、それが子ども達の未来を守るためにも大切なことなのだと思ってもらえるには、どのような内容をどう伝えていけばよいのか。

 

 総合周産期センターに勤務するアドバンス助産師として、意見を出し合い、若者の親世代へのプレコンセプションケアに取り組んでいきたいと思います。

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