アドバンス助産師Vol.12

2023.03.30

  • 助産師教育において地域母子保健が強化された経緯

    保健師助産師看護師学校養成所指定規則の改正に込められたこれからの産師像

公益社団法人 全国助産師教育協議会 会長

村上 明美

 保健師助産師看護師学校養成所指定規則の改正に伴い、2022(令和4)年度より助産師教育は新しいカリキュラムで実施されている。詳細については2019(令和元)年10月に厚生労働省から公表された看護基礎教育検討会報告書1)を参照していただきたい。

 

 この度の助産師教育の見直しの概要は、以下の通りである。

  • 総単位数を28単位から31単位に充実(助産診断・技術学を2単位増、地域母子保健を1単位増)

  • 助産師特有のテクニカル・スキル(手技)を技術項目とし、卒業時の到達度を新たに策定

  • 周産期のメンタルヘルスやハイリスク妊産婦への対応、正常からの逸脱の判断や異常を予測する臨床判断能力、緊急時に対応できる実践能力を養うために助産診断・技術学の内容を充実

  • 産後うつや虐待等の支援として、地域における子育て世代を包括的に支援する能力が求められていることから、産後4か月程度までの母子のアセスメントを行う能力を強化するために地域母子保健の内容を充実

 特に、地域母子保健の教育内容は、これまで必要単位数が1単位であったが2単位に倍増された。昨今の母子を取り巻く深刻な社会情勢を鑑みて、これからの助産師活動には地域における母子ケアの能力強化が大変重要なのだという国の強い姿勢が表れている。

 

 そのことは、当該報告書収載の「看護師等養成所の運営に関する指導ガイドライン別表2」に、地域母子保健に関して「(略)保健・医療・福祉関係者と連携・協働しながら、地域における子育て世代を包括的に支援する能力を養う内容とする」「産後4か月程度までの母子のアセスメントを行う能力を強化する内容とする」という記載からも見てとれる。

 

 2023(令和5)年1月、政府は「異次元の少子化対策」という言葉で子育て支援策の大幅拡充の方針を明らかにした。それらの政策と地域における母子ケアがどのように調和しながら展開されるのかを慎重に見極め、今後の助産師教育を一層充実させていく必要がある。

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