Vol.12
2023.03.30
-
【アドバンス助産師ご当地情報】
公立助産所におけるアドバンス助産師の活動高石市立母子健康センターは公立助産所の特徴を生かして、地域に根差した妊産婦の切れ目ない伴走型支援を行っています。
高石市立母子健康センター アドバンス助産師 中谷 静代
高石市立母子健康センターは全国でも珍しい公立の助産所です。助産所では妊婦健診、分娩、産後ケア、母乳外来、育児支援など、妊娠期から子育て期の母子やその家族をサポートしています。医師の不在の助産所では、患者の健康は助産師の判断にゆだねられます。そのため、患者の訴えを傾聴し、科学的根拠を持って助産診断を行っています。当センターの妊婦は妊娠中に提携病院を受診し、情報共有を行います。そして、妊娠期に助産業務ガイドラインの逸脱が予測される場合には、提携病院に電話相談し、必要時には医師の診察を依頼することもあります。土日夜間でもスムーズに患者の搬送が行え、安全に妊娠分娩管理が行えています。
また、当センターの特徴は高石市役所地域包括ケア推進課に助産師を派遣していることです。助産師は、妊娠中に母子手帳交付・電話訪問・妊婦訪問、産後には新生児訪問・こんにちは赤ちゃん訪問を行っています。また、保健師・保育士とチームカンファレンスし、産後ケアやアウトリーチ産後ケアなどの必要なケアを検討し、妊産褥婦が妊娠期から産後まで安心して過ごせる環境づくりに取り組んでいます。
振り返れば、助産所から行政への連携は敷居が高く、電話連絡すら簡単とは言えませんでした。市役所勤務に伴い、市役所から病院への電話連絡も難しいことを実感しました。市役所への派遣助産師がパイプ役となり、医療機関と行政の橋渡しとなることができました。スムーズな情報交換により、スピーディな産後ケアの利用や早めの新生児訪問につながり、妊産褥婦へ早期介入することができています。
結果、国が掲げている妊産婦の切れ目ない伴走型支援を行っています。今後も、アドバンス助産師として知識技術を向上させつつ、利用者一人一人に真摯に向き合い、関係機関と連携しながら、妊産婦に寄り添っていきます。